連載

和塾による新しいプロジェクトが始まります

科学技術と市場経済は、不断の「拡大・成長」を不可避の前提として、産業革命以降の地球を牽引してきました。そのスピードは、今では人間の認知限界をも超えるレベルに達している。ことに、この半世紀での、AIを軸としたITテクノロジーとDNA解析を核としたバイオテクノロジーの飛躍的進展と、グローバル市場の形成は、地球上にさまざまな歪みを産み、人びとの心に未来への不信と不安を惹き起こしています。人類によるあくなき拡大・成長の追求は、その課程で地球環境への高負荷を伴い、結果として緑の地球に回復不能な傷跡を残しつづけている。地球とそこに暮らす人類は、今ここで、何らかの新しい思想や哲学、価値観を見いださねば、健全に存続することが難しい局面を迎えているのです。

けれど、これまで我々が基準としてきた西洋基点の発想や欧米的行動原理では、この行き詰まりを解消できそうにありません。なぜなら、今、解決を求められている地球上の諸問題・諸課題は、そのほとんどが、西洋基点の発想や欧米的行動原理に起因するものであり、その視点を維持したままでは問題や課題の根本的解決は不可能だからです。

では、その答えは、いったいどこにあるのか。

和塾による新しいプロジェクト「日本文化から考える持続可能な地球こと」は、日本の伝統文化に根ざすさまざまな事象から、持続可能な地球を導くであろう新たな価値軸を引き出そうとする試みです。自然の恵み豊かな極東の島国で育まれ、長い年月を積み重ね、今にいたるもその本質を失っていない本来の日本の文化文明は、少なくともその事実だけで、実際に持続可能である、と言い得る存在です。その本質を知る賢き人びとの思いは、世界中の人びとが、耳を傾けるに値するものではないか、と思うのです。

日本の文化文明、日本の伝統的発想や行動原理の内にある未来へ向かう新たな視点や思考を共有し、持続可能な地球を創り伝えていきたい。そんな思いを基点に始まる新しいアクション。それが、この「日本文化から考える持続可能な地球のこと」なのです。

さあ、あなたも今こそ、和塾によるこの新しいプロジェクトにご参画ください。

 

 

[連載一覧]日本文化から考える持続可能な地球のこと
・和塾による新しいプロジェクトが始まります
ニッポンを基点に「持続可能な地球」を考えてみよう

・対論[第1話]福原寬×田中康嗣
[前編]グッと内へ向かう感じ
[後編]借り物で一流にはなれない

・対論[第2話]桂盛仁×田中康嗣
[前編]1500年前の技法でつくっています
[後編]金持ちほど品がないです

・対論[第3話]神崎宣武×田中康嗣
[前編]釣りはイイよ、と言える男たち
[中編]人間は、いろんな匂いがしますから
[後編]バトンゾーンをつくり、但し書きを添える

・対論[第4話]橘右之吉×田中康嗣
[前編]あめつちから生まれ、あめつちへ還る
[後編]まがいものを見抜き、もどきを楽しむ

・対論[第5話]鶴澤寛也×田中康嗣
[前編]モジュールを組み合せる
[後編]文化を伝える箱

・対論[第6話]山井綱雄×田中康嗣
[前編]灰色で曖昧な領域
[後編]カレーライスとナポリタン

・対論[第7話]新内多賀太夫×田中康嗣
[前編]始めに愛がある
[後編]日本を模倣する西洋

・対論[第8話]稲畑廣太郎×田中康嗣
[前編]花鳥諷詠の心
[中編]この味が大事なんです
[後編]余地・余白・余韻

・対論[第9話]三條西堯水×田中康嗣
[前編]勝ち負けがない
[後編]日本人としての素養