小川勝章

おがわかつあき

1973年京都府出身。宝暦年間から続く京都の造園業「御庭 植治」の次期十二代。植治の当主は代々小川治兵衞を襲名する。初代は侍から造園の道を志して帯刀を許される作庭家となる。中興の祖である七代目治兵衞は山縣有朋邸(無鄰菴)、平安神宮神苑など国指定名勝庭園を数多く作庭し、近代庭園の先駆者となった。勝章氏はこの250年以上続く植治の後継者となるべく高校入学時より父十一代目に師事し思春期の多くを庭園掃除で過ごす。立命館大学法学部を卒業後、植治における作庭に専念。1996年より歴代・当代小川治兵衞の手掛ける庭園の作庭・修景・維持や非公開庭園の作庭に従事。自身による作庭は、粟田神社、鍛冶神社、「和空(WA-Qu)」展(ミラノ・サローネ)などがある。京都精華大学・名古屋工業大学・名城大学等において非常勤講師を歴任。特に近年は次代へと繋がる取り組みを重ねている。実相院門跡等での市民協働の作庭をはじめとした新たな庭造りなども積極的に手掛けている。著書に京都・滋賀の庭園解説本『技と美の庭』(京都新聞出版センター)。「樹、石、水に慶んでもらい、そしてお庭に慶んでもらう。そしてお庭を通して皆さまに慶んでいただこう」と語る勝章氏は、講演やワークショップにおいても庭園に重ねられた先人たちの思いの伝達に努めている。