冷泉為人

れいぜいためひと

944年兵庫県出身。関西学院大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は日本美術史(近世絵画史)。1984年に冷泉家の末裔である冷泉貴実子さんと結婚、婿養子に入り後に二十五代当主となる。2002年には冷泉家時雨亭文庫理事長に就任。同志社女子大学客員教授、立命館大学特別招聘教授も務める。著書に『冷泉家・蔵番ものがたり』(NHKブックス)など。冷泉家は藤原俊成、定家といった歌聖を祖先とし、歌の家としておおよそ千年の長きにわたって和歌の文化を守り続けている歌道の宗匠。御文庫(おぶんこ)と呼ばれる典籍類を保管する冷泉家の蔵には藤原定家が書写した勅撰和歌集のうち二つ(『古今和歌集』『後撰和歌集』)を含む5件の国宝と47件の重要文化財が納められている。冷泉家に残っている文化財保存を目的として1981年に設立した財団法人冷泉家時雨亭文庫では、3万点とも数えられる文化財を管理しており、それだけの文化財を冷泉家は自分たちの家の財産として残し伝えてきた。冷泉家に入ったことでこの王朝文化の継承者となった為人氏は、どんなに困っていても千年のプライドがあって人にものを頼むことができない冷泉家の人を知った時に「ホンマ、えらいとこに養子に来てしもうたと何度も思いましたわ」と語っている。