[シリーズ企画] 正統なる日本の節句を楽しむ〜第3回 重陽・菊飾り

豊かな日本の四季の中で育まれた節句。その風習を現代の日本において正統に感じられる場の一つが料亭です。設えはもちろん料理、器、中居さんの着物の帯にいたるまで、あらゆる所に施された心配りが客にとっての愉しみになります。

和塾のシリーズ企画〜正当なる日本の節句を楽しむ。「端午」「七夕」とお愉しみいただきましたが、今回第3回目「重陽」で最終回。会場はもちろん、日本の料亭の頂点に立つ「東京吉兆本店」で開催しました。

重陽の節句は五節句を締めくくる最後の行事として、古くは五節句のなかで最も盛んにおこなわれたそうです。旧暦の九月九日は、現在の十月中旬ごろにあたり、まさに菊が美しく咲く時期。菊は古く中国では「仙境に咲く霊薬」とされ、菊のエッセンスをふくんだ水を飲むと健康で長寿になれるという「菊水伝説」がありました。そのため重陽の節句では菊の花びらを浮かべて菊花の香りを移した「菊酒」が振舞われます。

色鮮やかな「菊畑八寸」

着せ綿を乗せた「重陽作り」

お食事の後には、能楽師大倉流大鼓方の大倉慶乃助さんと喜多流シテ方の佐藤寛泰さんによる秋の調べを堪能いただきました。