第百七十回本科お稽古  陶芸家 三上亮先生

日時:2017年6月21日(水) P.M.7:00開塾
場所:ギャラリー山咲木(人形町)

本日のお稽古は陶芸家であり、東京芸術大学の准教授でいらっしゃる三上亮先生にお話し頂きました。

先生は土づくりから釉薬、焼き方に至るまで、独自の技法を研究していらっしゃる数少ない陶芸家の方です。

陶芸は

どんな土を使うか(成分、産地)、
どんな方法でどんな形をつくるのか(手、けろくろ)、
どんな成分の釉薬をつかうのか、はたまた使わないのか、
どんな釉薬のかけ方をするのか、2度がけか、
どんな窯で、燃料、熱量、置き場所・・・

選択支が膨大に存在します。

そのすべてにおいて型にはまらず、自然現象を大切に観察し作品を作られていらっしゃいます。
三上先生の作品は○○焼という名前がないのですね。

そんな先生の陶芸は制作工程自体がもはやアート。

写真家でいらっしゃる青樹劇場の青樹さんが撮影された陶芸ドキュメンタリーを上映しながら、解説をしていただきました。

●土
通常の陶芸家の方は「土やさん」から均一になった土を購入します。
○○県さんの○○山の土で作っているなどではなく、

愛知の山に愛知万博のための道路を引く際にでた土。

なんていう出会いも大切にされています。
絵描きで例えると絵を描くときはキャンバスを買ってきて、どんな絵具で描くか考える。

三上先生は、このキャンバス自体も作ってしまう。
すごい研究家です。
なるべく決め事をしないで、予期しない事が起こるのがおもしろそうです。

お庭の水槽にて土の沈殿。時間をかけてより分け。

●けろくろをひく
多くの陶芸家の方は「電動ろくろ」を使用します。
電動に対して、非電動の「けろくろ」。
足でけって、ろくろを回すので「けろくろ」。
三上先生は「けろくろ」で。
電気代がかからないから。笑

音楽好きの三上先生。
クラシックをかけて、ろくろを回している時、
ジミヘンのとき、作風が変わるそうですよ。

●攻め炊き・窯明け
煙突が2つあるウサギかま。
燃料となるマキもご自身で割るそうです!

温度計は使用せず、五感を使用。
丸2日焼き、丸2日冷まします。

●化粧がけ
通常、素焼きをしてから釉薬をかけ、2回焼きます。
三上先生は生の状態で釉薬をかけ1回焼きをしていらっしゃいます。

昔の焼き物の陶片を観察して、昔は1回で焼いていたのではと思われたそうです。

素焼きをしてから2回焼くのは大量生産にあわせた手法とも考えられています。
工業的発展ですね。
素焼きをしてスポンジ状の陶器に釉薬をかけるととても付きが良い。
しかし、なんとなく素材と釉薬の間に分かれている感じが出てしまう。

古い物にはいい表情がでていたそうです。

三上先生は泥と釉薬を混ぜてかけて焼いた。

そしたら一体感が生まれたそうです。
美術館などで展示されている昔の焼き物は素焼きをしていないのではと思われます。

●スターダスト

こちらの作品はの誕生は
土と化粧とガラスが一体になって、きれいだなと思われたのが発端だそうです。
キューブ状の構造体を幾重にも積み重ねていく。

塾生の方が身に着けていらした、スターダストのカフス。
ラピスラズリの青が入っていて、なんとも涼しげ。
最高におしゃれですね。

最後はギャラリー山吹木さんで三上先生の作品を鑑賞。

ギャラリー山吹木さんの「山吹木」の書も三上先先の作。

三上先生、青樹様、ギャラリー山咲木・山﨑様、どうもありがとうございました。