瓢亭主人 高橋英一「季節を愛でる」和樂文化塾

6月末の京都、梅雨だというのに盛夏のような厳しい暑さのなか、瓢亭での文化塾が開催されました。
瓢亭の門をくぐると、丁寧に打ち水された露地と手入れされたお庭、そしてきこえてくる水音に心が休まります。同時に今からの素晴らしい時間を想像すると心が華やぎます。
今回はいちばん大きなお部屋での開催です。正座が苦手な方にもゆったりしていただけるよう足をおろす掘りごたつのような設えがありました。正座を覚悟していたのでホッと一安心です。

お部屋の前方に調理台が設置してあり、高橋英一さんと息子さんで料理の講習会が始まりました。なんとも贅沢な空間!

さて今回のお献立です。祇園祭のころのお献立で、鱧がたくさん使われています。鱧は京都の夏を代表する魚で、「梅雨の水を吸って美味しくなる」と言われます。祇園祭のころが最も美味しいとされていて、祇園祭は別名「鱧祭」ともいわれるくらいです。

講習で教えていただいたのは、先付の“鱧の煮こごり”、煮物椀の“鱧の葛たたき”、強肴の“鯛昆布〆細造り”です。その他のお料理についても詳しく説明をしていただきました。

鱧はおろして骨切りをするところも見せていただきました。一寸に24カ所も包丁をいれるという骨切り、皮一枚を残してしっかりと骨を切らなければいけないのだそうです。シャリ、シャリという音が調子良く響きます。鱧用の有次の大きくて立派な包丁も見せていただきました。
葛たたき用の鱧は葛粉を丁寧にまぶして、にがりを少し加えた湯で霜降りをします。にがりを加えた湯で霜降りをすると魚のクセがとれるのだそう。
鯛の昆布〆は、家庭でも早速試してみたくなりました。ただ瓢亭さんのように明石の最高級の鯛を仕入れることはできませんが・・・。

講習の後は、楽しみにしていたお食事をゆっくりといただきました。途中、女将さんのお話を伺ったり、ご主人にお軸について教えていただいたり。
そこだけゆっくりと時間が流れているかのような空間で、京都というより日本を堪能できた一日でした。

別の季節にも是非訪れたいと思います。