今年の忠臣蔵

立ち並ぶ江戸屋敷に、雪がしんしんと降り積もっている午前4時頃の出来事でした。

大石内蔵助率いる47人の忠臣が、主君の仇である吉良上野介が眠る吉良邸に侵入し、討ち取った後、切腹するという形で幕を閉じます。
当時大きな話題となったこの事件は、早くもその3日後には劇化され、人形浄瑠璃や歌舞伎によってさまざまな脚本のもと演出や創作が加えられ、演じられてきました。

俗に『忠臣蔵』と呼ばれる一連のお話は、事件から300年以上たった現代でも、毎年テレビ番組やドラマで放送され、または数多くの映画作品や書籍となって多くの人を魅了しています。


今年は、十二月歌舞伎公演にて『元禄忠臣蔵』が演じられます。
人間国宝となったばかりの中村吉右衛門氏が出演。

また、女流義太夫による『仮名手本忠臣蔵』も、12月19日国立演芸場にて開催されます。
こちらは、毎年恒例の忠臣蔵公演。

『最後の忠臣蔵』が大ヒットしたのも、記憶に新しいですが、
来年には、ハリウッドにて『47RONIN』と銘打った作品が公開されるそうで、いまや日本のみならず、世界でも一つの物語として認知されているお話となりました。

浄瑠璃や歌舞伎、ドラマや映画にて、お目にかかる機会が多い『忠臣蔵』。
それぞれ独特の演出や脚色がされていて、それを味比べするのも楽しみのひとつかと思います。


今年の和塾が注目しているのが、「講談」。
雪が降りしきる舞台や、屋敷へ向かう忠臣たちの胸の内、響き渡る剣戟の音、討たれる吉良の想い、討ち入りに携わる人々の様子を、たった一人の語りひとつで表現するのが講談です。
こなれた役者やセット、照明やBGMなどは一切ありません。

さらに、講談師は、お客様の様子を見ながらお話をつくっていきます。
なので、どの語りも全て違う。一回きりの生ものです。

日本最高峰の話芸による『忠臣蔵』を聞いてみたいと思い、
講談界の最高権威であり、講談師初の人間国宝である一龍斎貞水氏にお声かけし、
『一龍斎貞水・国宝の話芸』というイベントを企画いたしました。
講談では、『赤穂義士伝』という演目名となります。

今年の10月に『四十八人目の忠臣』という本を毎日新聞社からだしたばかりの、
作家 諸田玲子氏をお迎えしての豪華対談も予定しております。

珠玉の語りとしての『忠臣蔵』を堪能ください。


<講談>
一龍斎貞水・国宝の話芸
演目:『赤穂義士伝』より
日時:12月4日 10時45分開演
場所:新ばし 金田中
出演:一龍斎貞水、諸田玲子

<歌舞伎>
国立劇場45周年記念 十二月歌舞伎公演
演目:『元禄忠臣蔵』
「江戸の刃傷」「御浜御殿綱富卿」「大石最後の一日」
日時:12月3日〜26日 12時開演 ※9日、16日は4時開演
場所:東京国立劇場
出演:中村吉右衛門、中村梅玉ほか

<女流義太夫>
女流義太夫演奏会
演目:『仮名手本忠臣蔵』
「道行旅路の嫁入」「一力茶屋の段」
日時:12月19日 16時半開演
場所:国立演芸場
出演:竹本駒之助、鶴澤津賀寿ほか