つなぐ京料理〜連餐の宴〜開催しました

室町時代、京都を中心に興隆した文芸に「連歌」があります。長短の句を複数人が詠み連ねて一つの詩を創る。集団で創作する文芸作品です。

ひとつひとつの句はそれぞれの世界を持ちながら、前へ後ろへ絶妙な関係性を持ち、連なる歌が一つの作品として成立します。こうした形式の文芸は世界的にも類例のないもので、一人の詩人が一つのポエムを創る欧米人にとっては憧憬すれどもなし得ない日本人ならではの創作行為です。

この連歌にちなみ「連餐」と呼びたい贅沢至極の晩餐の宴〜京料理の今を体現する4人の料理人が名句をつなぐように連ねる食の詩興〜を開催しました。

会場は、450年の歴史を守る「南禅寺瓢亭」。苔の緑や疎水のせせらぎが心地よい茶庭に佇む数寄屋造りの広間は、静謐で品格ある空気感で満ちています。

世界にその名を馳せる老舗「瓢亭」の若き当主 高橋義弘さんを陣頭に、代々一人の世継ぎだけに伝える一子相伝を頑なに守り続ける「なかむら」当主 中村元計さん、京都の奥山・花背の里にある摘草料理で有名な「美山荘」当主 中東久人さん、舌の肥えた室町界隈の旦那衆や粋人に支えられた初代・先代の仕事を更に洗練させる「木乃婦」当主 高橋拓児さんが、会場に結集。素材も調理法も、器も盛り付けも、すべてが詩的に連関する妙味と滋味で、至福の宴を演出していただきました。

左から「木乃婦」三代目当主 高橋拓児さん
「一子相伝なかむら」六代目当主 中村元計さん
「美山荘」四代目当主 中東久人さん
「南禅寺 瓢亭」十五代目当主 高橋義弘さん

 

4人の主人たちが、先付から始まり水菓子に至るまでを順番に担当していきます。先付は美山荘担当、前菜は瓢亭と木乃婦担当、向付はなかむら担当・・・といった具合に。
和やかさと真剣さが同居する瓢亭の調理場で、各ご主人は代々にわたり培われ受け継がれた伝統の技で、担当の品を鮮やかに仕上げていきます。

京都を代表する料理人がまさに結集し逸品でつなぐ美味のリレー。贅沢で稀少で、夢のような光景が目の前に広がっていました。

銀杏味噌の先付(美山荘 作)

甘鯛造り(なかむら 作)

煮物椀(瓢亭 作)

のどぐろの焼きもの(なかむら 作)

フカヒレと胡麻豆腐の炊合せ(木乃婦)

松葉蟹やこっぺ蟹(瓢亭 作)

琵琶湖天然鰻に、ご飯と止椀(美山荘 作)

苺とココナツアイス(木乃婦)

雪餅(木乃婦)