第三十六回「銀器」上川宗照先生

日時:2012年6月20日(水)19:00開塾
会場:東三筋町内会館2F
講師: 銀器工芸師 現代の名工

Text by : Sakamoto

日本には約210品目の伝統工芸品があり、その従事者は140000人に上るとされています。

伝統工芸品として認定されるには、
・主として日常生活に使われるもの
・主要行程が手作りであるもの
・100年以上前から続いている技術や技法で作られているもの
・産地が形成されていること
以上の条件を満たしている事が必要とされます。

本日は江戸時代に誕生した銀師と呼ばれる銀器職人をルーツとする伝統工芸品「東京銀器」の上川宗照さん、宗伯さん、宗達さんによる製作体験を中心とした銀器についてのお稽古です。

ヨーロッパでは紀元前4000年前から日常生活で銀の食器が使用されていましたが、日本では668年に建立された崇福寺から銀で作られた箱が発見されたことから、1400年程前に銀器が使われはじめたとされています。
銅や鉄は酸化し腐食してしまいますが、銀は硫化による変色はあるものの、腐食しにくい素材のため、現在でも紀元前4000年前の銀製品が残されています。

銀製品は、銀の板を金槌で打ち出して伸ばし成形をする「絞り」という技法と、火を入れ、熱を加えながら叩いて加工する「鍛金」という技法で作られます。
また東京銀器では、展開図を描いて各パーツを作り、それらを銀と真鍮で接合する「鑞付け」という伝統技法を用いて製作をされています。
一枚の板から作られた製品では、修復の際、消費者に負担がかかりやすいため、なるべく負担のないように製作するという考えからこの技法が使われているそうです。

宗伯さん、宗達さんの御祖父様が60年前に作られた湯沸かし。
御祖父様が作られたもので唯一手元に残っているものだそうです。
この湯沸かしが作れると、ほとんどのものを作ることができるという程、技術の要素が凝縮されていて、この湯沸かしを見てその形を作る事ができ、またそれを継承する事ができるのだと話されます。伝統の技法を継承しながら新たな技術を開発して後世に残していく、次世代に技術を継承するだけでなく、その時代に応じた新しい技術も残していく事がとても難しいと感じられているそうです。

製作体験では、形ができ上がっているものに対して模様を付ける「加飾」の体験をしました。
3種類の金槌に槌目、岩石、ござ目のそれぞれの模様が施されており、それを打ち付けることで銀に加飾することができます。

柄の部分全体に模様が入るように楊枝を回しながら叩いていきます。
模様を入れ終わると、ヤスリで先端を削っていただき、
研磨剤と油で作られたクリームを塗り磨いていきます。
柔らかい布で磨き上げたら、最後に超音波洗浄機で油分をとり、完成です。



加飾のアレンジは自由に、とのお言葉でそれぞれにマイ楊枝を製作しました。

製作体験後は、銀製のコップでお水の試飲をさせていただきます。
ガラスの420倍の熱伝導率をもつという特性から、時間が経っても冷たいまま美味しくいただくことができます。
冷たいものと常温のものに適していますが、熱伝導率が高いため、熱いものは火傷をしてしまう可能性があるので注意が必要とのことです。

東京銀器では製造販売のほか、製作体験教室もされています。
江戸時代からの技を受け継ぐ伝統工芸士による銀器はもちろん、自分で製作した銀器を日常生活に取り入れる贅沢も素敵ですね。

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