第三十三回「は組」お稽古「新内」富士松小照先生

日時:平成24年5月23日(水) 19時開塾
会場:多目的空間 粋 Sui Studio 1階
講師:

Text by : Iwata

席について待っていると後方から三味線の音。
♪火の用心 さっりゃりやしょう

と、太夫、三味線の流しスタイルで講師登場!!
江戸の町にいるような、粋な演出で始まった今回のお稽古。

今回講師にお迎えしたのは富士松小照師匠。
9才から富士松加賀照のもとで新内を始め、のちに鶴賀朝太夫に師事。
歌舞伎や新派の舞台、文楽との共演など、伝承邦楽、古典の継承から
新作の創造まで幅広く活躍中です。

遠目に見てもお肌がツヤツヤ、気が満ちてます。

まずは「新内の歴史」から解説いただきました。
新内は、江戸時代中期(1750年頃)に、江戸で大流行していた”豊後節”から派生した一派。
(この頃にヨーロッパではモーツァルトが誕生!)
豊後節は、時の幕府から「風俗紊乱」を理由に禁止令が出されるほどの人気。
豊後節の創始者、宮古路豊後掾も京へ戻ることになってしまいます。

しかし、江戸に残ったお弟子さんたちは、そこから新しい流派を作り上げ、
常磐津節や富士松節が出来あがります。
富士松節から鶴賀新内が世に出ると、独特の語り口や鼻に抜ける発声が人気を博し、
」と呼ばれるようになりました。

新内は他の流派(歌舞伎などの伴奏曲)とは異なり、遊里を中心に定着。
人形や踊り手なしの素浄瑠璃として大成します。
新内節の題材には、駆け落ち、心中など男女間の人情劇が多いそう。

ひと通り新内の歴史に触れたところで、おまちかね、小照師匠の語り。
上調子は新内勝志壽さんです。
今回は、名曲「蘭蝶」のクドキを披露していただきました。
「蘭蝶」は芸人、市川屋蘭蝶が新吉原の遊女此糸(このいと)となじみ、
女房お宮との板ばさみになって、此糸と心中・・・と、全曲演奏すると1時間半もかかる大曲です。

蘭蝶の軽さ、此糸のやわらかさ、お宮のしっとり感。
小照師匠の巧みな語りと台詞回しは、まるで目の前で舞台を見ているよう。
参加者も引き込まれていきます。
聞き終えた後には心地よい緊張感。

続いては新内流しと三味線について
遊里を中心に流す”新内流し”は小説やドラマなどでも有名ですよね。
太夫と三味線の2人1組。流しの三味線は太夫が地を、三味線が上調子を担当します。
歩くテンポでゆっくりと演奏される伴奏は、音が多いわけではないのにメロディがとても情感豊か。
最近は流しをする場所がないのが残念です。

上調子は全体的に細みでバチが指に収まるくらいの小ささ。ギターのピックのようです。
これで繊細な音を紡ぎ出しているんですね。

また、新内には心中ものだけでなく、賑やかな曲もあるそうで。
弥次喜多の前引きの演奏が始まると場も和んだ雰囲気に!

そして最後にもう1曲
泉鏡花「婦系図(湯島境内の場)」新派の代表的狂言を披露いただきました。

新内はとても艶やかで女性的な印象を受けました。絹を纏うような感覚があります。
たまには目を休ませて、耳を養うことが大切ですね。

小さなお座敷の空間で2時間、大変贅沢な時間でした。

小照師匠、勝志壽さん、ありがとうございました。

4 Replies to “第三十三回「は組」お稽古「新内」富士松小照先生

  1. 昔大変富士松小照先生にお世話になったものです三才の長女が先生に新内を教えていただき舞台にも出して頂いたことがあります,その長女も二人の子供のお母さんになっています。東京で一番お世話になりいちばん楽しく暖かく優しい大石さんにあいたいです!娘の舞子,裕子もあいたがっています。この文章が富士松小照先生に届きますように願ってますあいたいです!先生と出会った時は西島でした。覚えていてもらっていればうれしいのですが。

    1. 2 Responses to”第三十三回を今日見ました、大変懐かしいです、良く思い出して戴きました、
      忙しくしておりますが是非お嬢様達とお会いしたいと思います、メールアドレスにてご連絡下さい。
                                                      富士松小照拝

  2. 富士松小照先生へ

     昨日娘からメールで先生から返事が届いてるよと連絡がありました。
     とっても嬉しかったです。ちょっと信じられない嬉しいです‼
     いつか先生の都合のつく日に是非娘たちにあってやってください。
     しっかり覚えてるみたいです。連れていきます。でも一番合いたいのは私です。
     本当にたくさんたくさん、いっぱい、いっぱいお世話になりずっと感謝しています。
     先生との思い出はわたしの大切な宝物です。
     いつかお会いできる日を楽しみに待っています。 
                                        西島ヤスエ

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