ー香道~星合香を楽しむー稲坂良弘先生 小畑暁滉先生 第一回くのや和塾

日時:2009年7月29日(水) P.M.7:00開塾
場所:銀座 くのや 座敷

くのや和塾、第1回お稽古は「」。茶道、華道と並ぶ三芸道のひとつと言われていますが、なじみが薄い。だからこそ、和塾で体験です。

おいでいただいたのは、香十の稲坂代表。香十は430年もの歴史を持つ香の老舗。初代は安土桃山時代に宮中御用を務めた安田又右衛門源光弘。三代目は太閤秀吉に、四代目は徳川家康に召されていたという香司です。

稲坂良弘先生

香は6世紀中頃仏教とともに日本に伝えられました。この頃の香はもちろん宗教儀式用。祈りのための香です。その後、平安時代になると、貴族たちの間で衣服や頭髪、室内などに香を焚き込める「薫物(たきもの)」という風習が生まれました。祈りの香が、生活を楽しむための香に発展したのです。その後、香り自体を鑑賞し、香りの優劣(配合の技術)を競うような「薫物合(たきものあわせ)」という遊びが流行。さまざまな遊びの要素を加えながら、室町時代に入ってそれが「香道」へと深化するのです。

今に至る香道の基礎ができあがったのは、15世紀。茶道や華道が確立されたのとほとんど同じ時代です。室町時代は今に伝わる多くの日本の文化が確立整備された重要な時代なんですね。四畳半の和室に代表される建築様式、日本で独自の発展を遂げた水墨画、その後の俳句につながる連歌、能や狂言、日本料理の定礎となる精進料理・・・、これらは皆この時代に確立された。和塾のお稽古で少しずつ学びましょう。

室町の第八代将軍・足利義政が、三條西実隆(さんじょうにしさねたか)と志野宗信(しのそうしん)にその定式化・組織化を命じたことが香道確立の契機。現在、三條西実隆の流れをくむ流派を「御家流」、志野宗信の流れをくむ流派を「志野流」と称し、ともに香道の主要流派となっています。御家流は公家風を、志野流は武家風を根底としている。ちなみに、今回の和塾のお稽古は御家流での実技となりました。

手前が小畑先生です

稲坂代表によるお話しにつづき、お稽古はいよいよ初めて?の香道体験に。ご指導いただいたのは、御家流香道師範、お香の会評議員の小畑暁滉(ぎょうこう)先生です。

星合香の設え

香道には700種以上の遊び方=組香があるのですが、今回楽しんだのは、夏の歳時香「星合香(ほしあいこう)」。牽牛と織姫を題材にした七夕の組香です。
最初に牽牛と織姫の香を聞き、その後七つの香を聞いて牽牛と織姫を探し当てます。見事に当てれば、二つの星が出会う「星合」の評価。残念ながらどちらも的中しなければその評価は「大雨」になります。

組香で聞き分ける香木は6種。伽羅(きゃら)羅国(らこく)真南蛮(まなばん)真那賀(まなか)佐曽羅(さそら)寸聞多羅(すもたら)。これを「六国(りっこく)」と呼びます。これらの香木は、カンボジアやベトナム、タイ、マレーシア、ラオスなどの産。最高のものが伽羅で古来珍重されている。御家流ではこの六国を味覚との組み合わせ(五味)で表現。伽羅=辛、羅国=甘、真南蛮=酸、真那賀=無、佐曽羅=鹹(かん)、寸聞多羅=苦、となります。

香炉に載せられた香木

順に香を聞いていきます

これらの香木は、ひとつずつ香炉に載せられ、その聞香炉が香元から正客に出される。香炉は順に次客へと送られ、客はこれを席順に聞いていくことになります。出された香炉は右手で取り、聞筋を自分に向け、左の掌に水平に載せます。右手の親指と小指を香炉の縁に載せ、香炉を覆い被すようにして手の内に香をため、親指と人差し指の間から香を聞く。右の鼻腔、左の鼻腔、最後に両方、都合三回、三息で。

真剣にお稽古中

さてこの組香、なかなか的中させるのは難しいのですが、和塾の塾生は筋が良い。驚くほどの的中率だったそうで、牽牛と織姫も幸せな星合を果たせたようです。

皆中(的中)の「星合」がたくさん

余談ですが、組香では香炉に載せられた香木の色で違いを見分けることも不可能ではありません。が、これは邪道。鼻で聞くのではなく、眼で見て選ぶ人を「材木屋」と呼んで、これはちょっと恥ずかしいようですよ。

所作や設えも合わせて、とても雅な香道体験。一方で、和歌や書などさまざまな教養を求められる香道の奥の深さを味わって、初めての「くのや和塾」もお開きとなりました。お終いのコトバは「香満ちました」でしたね。ありがとうございます。

図解 香道の作法と組香

雄山閣

稲坂良弘先生プロフィール
香司「」代表。早稲田大学を卒業後劇作家に。劇団文学座を経て脚本作家、CM演出家なども。82年、日本の「香道」が初めて世界へ向けて実演紹介されたニューヨーク国連本部の大ホールで舞台の構成演出を担当。各種メディアでは「香の伝道師」とも呼ばれる。フランスのインテリアフレグランスのトップブランド「ESTEBAN(エステバン)」の日本導入プロデュースも手掛けている。

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