日本の「心のふるさと」良寛さん。高名な僧侶でありながら、生涯寺を持たず、名利に囚われず、清貧の中で生きとし生けるものを愛し、子どもたちと戯れ、友と語り、和歌や漢詩を詠み、書に興じた托鉢の僧。その存在は、夏目漱石が範とした、根源的日本人とも言い得るものです。
生誕260年を迎える今年、永青文庫ではその生涯を讃える記念展が開催されます。今春の美術展の中でも屈指の話題を集めるこの「良寛展」、和塾では今回もまた特別に、閉館後の館を完全貸切で独占鑑賞の機会を設けました。合わせて、隣接する昭和初期の代表的華族邸宅である旧細川侯爵邸・和敬塾本館をこれも独占貸切。良寛展鑑賞前の楽しくてタメになるひとときをご用意。英国チューダー様式の見事な洋館で、永青文庫副館長でもある橋本麻里さんの記念展特別講話を、二階のかつては客室として使用された和室では、良寛さんを偲んで記念展特別茶席を設け、ゆかりの和菓子と美味しいお茶をみなさまにお楽しみいただきました。初夏の清々しいひとときをアカデミックにかつ贅沢に過ごす好企画。日本の「心のふるさと」に触れるじかんでありました。

第一会場となった和敬塾本館




良寛について、永青文庫の理事長でもある細川護熙氏は次のように記します。
「自らの生き方を考えるとき、思いを馳せずにはいられぬ中の一人が、良寛です。子どもたちと日がな手まりをついて遊んだという、温容の人としての側面がよく知られていますが、私自身は、鎌倉時代末期に大徳寺の開山となった大燈国師や、その臨済宗を江戸時代に中興した白隠慧鶴らの傑僧にもひけを取らぬ、厳しい修行に明け暮れた、「色青く面やせたる僧」としての側面を秘めているところに、惹かれてきました。

寒炉深く炭を撥く
孤灯さらに明らかならず
寂寞として半夜を過ごすに
只聞く遠渓の声

「色青く」は国学者近藤万丈が、若い頃に接した良寛の思い出として書いたものですが、彼自身が書いた漢詩や、「欲なければ一切足り、求むるあれば万事窮す」という言葉などからも、生活を極限まで切りつめ、削ぎ落とし、沈黙の中で自己を追究し続けた僧としての凄みが身に迫って来るようです。」

特別公演は永青文庫副館長の橋本麻里さん



公演後は旧細川侯爵邸・和敬塾本館を拝観

講演会場となった御食堂

正面車寄せ

和敬塾本館には、かつて居室だった座敷があります

今回はその和室で特別茶会

茶菓子は水無月

床の掛け物は狩野探幽です

第二会場は隣接する永青文庫

全館貸切で良寛さんをたっぷり堪能しました

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